正常価格

不動産鑑定で一般によく用いられる正常価格とは、不動産が社会基盤と位置付けられることから社会的背景には合理的な地価形成と密接な関係がありますが、簡単にいえばその言葉通り正常な価格で、片方に偏りのない公正な価格という意味です。

不動産鑑定評価基準では、正常価格について次のとおり定義されています。

「正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう」

不動産市場では、早急に現金化しないといけないケースや、親族間の恩恵的な取引など、様々な理由や売主と買主との関係で、通常の売買価格に比べ金額の差が大きいケースが散見されます。通常よりも売急いだり、また逆に十分な知識や経験、能力がない場合に通常より高い金額で購入してしまったケースなど様々だと思われます。

そのようななかで正常価格の前提条件である合理的な市場とは、概略で次の条件を満たしたものとしています。

①制約のないオープンな市場で、市場参加者は通常の知識や情報を持ち、資金調達能力も標準的で、売り急ぎや買い進みなどはない。不動産を最も有効に活用することを前提とする。

②取引が制約あるものでなく、売り急ぎや買い進み等を誘引する特別な市場ではない。

③対象とする不動産が相当の期間市場に公開されている。